1.現地法人の清算
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・商法(会社法)状の手続き:
①解散決議株主総会(解散及び清算人の選任)
②解散登記及び清算人登記
③現存事務の終結(会社の全ての資産及び負債の整理作業)
④会社債権者に対する催告公告及び負債の整理作業)
⑤残余財産価額の確定
⑥清算終結承認のための株主総会
⑦税務署への廃業申告
⑧清算終結登記
⑨書類の保存(帳簿等10年間、伝票等5年間)
・労働法上の手続き
①清算に従う勤労者と使用者間の雇用関係の終了通知(解雇予告通知)
②賃金、退職金などの清算
③社会保険の精算及び申告
上記手続についての詳細は下記のとおりになります。
①清算に従う勤労者と使用者間の雇用関係の終了通知(雇用予告通知)
使用者は勤労者を解雇しようとする場合には、原則、少なくとも30日以内にその予告をしなければならず、30日以内前までに予告しなかった場合には、30日分
以上の通常賃金を支払わなければなりません。
②賃金、退職金などの清算雇用関係が終了した場合、使用者はその終了日から14日以内に(勤労者と合意した場合、合意した期間まで)賃金や退職金等、
雇用関係の下で勤労者に請求権がある一切の金品を支払わなければなりません。
③社会保険の精算及び申告
追加価値税法上の廃業申告後)、所轄税務署が発給した廃業証明願を添付して社会保険の消滅申告を行わなければなりません。また、雇用保険と産業災
害補償保険は事業終了日までの賃金総額に対する保険料も精算しなければなりません。
〔法人税〕
清算法人は法人税法に基づき、みなし事業年度に対する法人税と清算所得に対する法人税を申告納付する義務がございます。みなし事業年度に対する法人
税は、みなし事業年度終了日より3ヶ月以内に、清算所得に対する法人税は残余財産価額の確定日より3ヶ月以内に申告納付しなければなりません。
なお、清算の結果、解散した法人の株主が残余財産の分配により受けた金銭もしくはその他資産の価額が、当該株式を取得するのに所要した金額を超える金
額は、みなし配当とされ、所得税または法人税が課せられることになります。
〔付加価値税〕
廃業日(税務署への廃業申告日)が属する課税期間の開始日から廃業日までの期間に対して、廃業日より25日以内に付加価値税を申告納付する必要がござ
います。
・外為法上の手続き:指定取引外国為替銀行への外国人投資企業登録抹消申請
外国人投資企業の場合、法人設立当時指定取引外国為替銀行に外国人投資企業登録しますので、税務署への閉鎖申告が完了されましたら、この外国人
投資企業登録の抹消申請を行わなければなりません。
①外国人投資企業抹消申請
②清算代金送金
③口座解約
・所要期間
(債権申告公告及び催告期間のため)解散決議をする日から2ヶ月以上の期間が所要されます。
2.支店の閉鎖(ご参考)
・閉鎖の流れ
①本店の取締役会決議(解散及び清算人の選任)
②解散登記、清算人選任登記
③債権催告公告
④支店の残余財産の処分
⑤本店の取締役会決議(清算終結承認)
⑥税務署への廃業申告
⑦清算終結登記
⑧外国為替銀行への外国企業国内支社閉鎖申告
⑨清算資金送金
但し、上記手続にもかかわらず清算手続き抜きで支店閉鎖手続を行うことができます。即ち、以下の手続のみでも支店閉鎖ができます。
①本店の取締役会決議
⑥税務署への廃業申告
⑧外国為替銀行への外国企業国内支社閉鎖申告
⑨清算賃金送金
・労働法上の手続き
上記1.と同様となります。
・税務上の手続き
〔法人税〕
上記1.の現地法人の解散とほぼ同じですが、清算所得に対する法人税とみなし配当に対する法人の申告納付は不要となります。
〔付加価値税〕
上記1.と同様となります。
3.駐在員事務所の閉鎖(ご参考)
現地法人精算や支店閉鎖と異なり、当期や広告等の手続が不要となります。
・閉鎖の流れ
①税務署への廃業申告
②外国為替銀行への外国企業国内支社閉鎖申告
③運営資金残金の送金及び保有口座の閉鎖