有形固定資産の取得原価、減価償却及び処分
Ⅰ. 有形固定資産の取得原価
1. 新規取得有形固定資産の取得原価
(1)概要
有形固定資産の取得原価は仕入価額に付随費用を加算して計上し、当該資産を使用できる状態にするまでに発生する費用を含む。
例)取得時に負担する運搬費、保険料、試運転費用、取得税、登録税、取得手数料、建設資金利子等
(2)少額資産
取引単位別で100万ウォン以下の少額資産に該当する減価償却資産を、その事業に使用した日が属する事業年度の費用として計上した場合は税務上の損
金として認められる。ここでいう「取引単位別」とは、法人が取得した資産を独立的に事業に食説使用できる様態を示す。
従って、複数の資産を同時に購入し取引総額が100万ウォンを超過する場合でも、各資産が独立的に事業に直接使用でき個別価額が100万ウォン以下の場
合は即時に費用処理できる。
但し、法人が大量に保有しているか、事業開始又は事業化拡大のために購入した資産は一般的には即時に費用処理できない。
(3)短期使用資産及び消耗資産
次の資産をその事業に使用した日が属する事業年度の費用として計上した場合は税務上の損金として認められる。
・ 漁業に使われる漁具に使われる漁具(漁船用具を含む)
・ 映画フィルム、工具(金型が含む)、家具、電気器具、ガス機器、家庭用器具・備品、時計、試験機器、測定機器及び看板
・ レンタル事業用ビデオ及び音楽用コンパクトディスクで、個別資産の取得価額が30万ウォン未満であるもの
・ 電話機(携帯電話を含む)及び個人用パソコン(周辺機器を含む)
2.取得以降の追加支出に対する処理
有形固定資産の取得以降の追加支出は収益的支出及び資本的支出に区分し、収益的支出については期間
費用として処理し、資本的支出については資産化して減価償却により耐用年数の期間にわたり費用化する。
(1)収益的支出
有形固定資産の修繕、維持のための支出は当該資産について当初予想された性能水準を回復するか維持するためのものであるから、一般的に発生した期間の
費用とする。このような収益的支出を例示すると次の通りである。
- 個別資産毎に修繕費として支出した金額が300万ウォン未満である場合
- 個別資産毎に修繕費として支出した金額が直前事業年度終了日現在のBS資産総額の5%に満たない場合
- 3年未満の壁の塗装、破損したガラスや瓦の代替、機械の消耗付属品やベルトの代替、自動車のタイヤの代替
- 製造業を営む者が新しい工場を取得し、以前使用した機械施設、什器備品、棚卸資産等を移転するために支出した運搬費及び機械の解体、組立及び
昇・下降に所要する人件費
- その他これに類似する費用
(2)資本的支出
有形固定資産の耐用年数を延長させるか、当該有形固定資産の価値を実質的に増加させる支出はこれを資 本的支出として処理する。このような資本的
支出を例示すると次の通りである。
- 本体の用途を変更させる改造
- エレベータ又は冷温装置、避難施設等の設置
- その他の改良、拡張、増設等
- その他これに類似する費用
Ⅱ. 有形固定資産の減価償却
1.減価償却方法
(1)減価償却方法の決定
法人は個別減価償却資産毎に次の区分による減価償却方法のうち1つを選択し、最初の事業年度(区分を異にする有形固定資産を新規取得した場合は、そ
の取得した日が属する事業年度)の法人税課税標準申告期限までに管轄税務署に申告する。規範内に申告しない場合は無申告時の償却方法に従う。
(2)減価償却方法の変更
法人が次のいずれかの場合は、管轄税務署長の承認を得てその減価償却方法を変更できる。減価償却方法の変更承認を受けたい法人は、その変更する減
価償却方法を適用する最初の事業年度終了日までに減価償却方法変更申請書を管轄税務署長に提出しなければならない。
- 減価償却方法が相互に異なる法人が合併(分割合併を含む)した場合
- 減価償却方法が相互に異なる事業者の事業を引受又は承継した場合
- 「外国人投資促進法」により外国人投資家が内国法人の株式等を100分の20以上引受又は保有するようになった場合
- 海外市場の景気変動又は経済的与件の変動により従来の減価償却方法を変更する必要がある場合
- 国際会計基準を最初に適用した事業年度に決算減価償却方法を変更する場合
- 国際会計基準を最初に適用した事業年度に支配企業の連結財務諸表作成の対象に含まれる従属企業が支配企業tお会計方針を一致させるために決算
減価償却方法を支配企業と同様に変更する場合
2.耐用年数
(1)概要 【出処】会計指針書サンプル(有形資産) / 作成者 李・ギョンウォン
企業会計上は耐用年数の見積もりを許容しているが、法人税法上は企業が選択する耐用年数に一定の基準を設けて制限している。
(2)税務上の耐用年数
税務上の資産別基準耐用年数及び耐用年数の範囲は次の通りである。法人は最初の事業年度の法人税申
告時に耐用年数を選択して申告し、期限内に申告しない場合は基準耐用年数を適用する。
(3)中古資産の耐用年数
内国法人が基準耐用年数の50%以上を経過した中古資産を他の法人又は事業者から取得した場合は、道外資産の基準耐用年数の50%に相当する年数
及び耐用年数範囲から選択し、納税地を管轄する税務署長に申告した年数を耐用年数とすることができる。
この場合、修正耐用年数の計算において1年未満は無いものとする。
例えば、基準耐用年数が5年である資産を取得費から3年経過後に法人から仕入れる場合、当該中古資産の耐用年数の範囲は2年~5年になる。
Ⅲ. 有形固定資産の処分
1.有形固定資産の売却
減価償却対象資産を売却する場合、売却日は属する月の前月まで減価償却費を計上し、処分価額と帳簿価額との差額を有形固定資産売却損益に計上す
る。
2.有形固定資産の廃棄
減価償却対象資産が破損又はその他の理由で目的とする用途に使われず、代替する用途もなく廃棄する場合、廃棄日が属する月の前月まで減価償却費を
計上し、処分時の未償却残高は有形固定資産廃棄損に計上する。
但し、廃棄損失が税務上の損金として認められるためには、次の資料により客観的に証明しなければならない。
- 廃棄対象資産のリスト及び写真資料
- 廃棄において追加費用が発生した場合はその証憑
- 重要な有形固定資産の廃棄の場合は代表取締役が決済した内部稟議書