Q. 退職年金制度とは、
韓国は2000年に既に低出産、高齢化社会に進入し、引退後の経済的安定化のため、国家が退職年金制度を義務化(勤労者退職給与保障法第1章第5条)することになりました。
(勤労者退職給与保障法の改正により2012.7.26以降新設される事業場は、退職給与制度設定時に退職年金制度の導入を義務化していますが、改正法には罰則など違反事実に対する制裁条項がないため、「法的強制」よりは「努力義務」を付与する宣言的な条項に解釈しています。- 雇用労働部退職年金行政解釈 (http://www.moel.go.kr/pension/index.jsp)
なお、税法で従来の退職給与引当金の設定金額に対し毎年損金認定比率を減らしていき、2012年現在損金認定比率は20%です。
しかし、退職年金は納付金額(負担金)を全額損金と認められます。
【退職年金制度】の概要に対する説明は下記の通りです。
退職年金制度とは、以下の機関が取扱う退職年金に加入することを言います。
当該退職年金は役職員の退職を退職給与の支払事由とし、役職員を受給者にします。
*保険業法による保険会社
*銀行法による銀行
*資本市場と金融投資業に関する法律による信託業者・集合投資業者・投資売買業者・又は投資仲介業者
*産業災害報償保険法による勤労福祉公団
退職年金には確定給付型および確定拠出型の2つの種類があり、各年金の概要は以下の通りです。
ご参考までに、韓国の中小企業は以下の事由によりDC型を採用しています。
― 加入勤労者の年間賃金総額の12分の1以上に該当する負担金を毎年現金で年金事業者に納付すると、会社は退職金と関連した全ての義務を果たすこと
になる。
― 退職年金納入以降の物価、利息率変動などによるリスクに対する責任がない。
― 会社が納付する負担金を会社の資産及び負債と認識せず、退職給与費用のみで計上すれば問題がないため、会計処理が簡単である。
― 納入額全額が法人税法上損金と認定される。
(参考:退職金制度)
退職金制度
退職金制度を制定しようつする使用者は、継続勤労年数1年に対して30日分以上の平均賃金を退職する勤労者に支払う制度を設けなければならない。また、使用者は勤労者の退職事由を問わずに退職金全額を会社負担によって、その支給事由が発生した日から原則的に14日以内に通貨で勤労者に直接支払わなければならない。さらに、退職勤労者の退職金受給権は勤労基準法上の優先弁済権制度および賃金債権保障法によって保護されている。
(1)退職金の算定方法
退職金は継続勤労年数1年に対し30日分の平均賃金を乗じて計算する。これを算式で表示すると以下のようになる。
退職金を計算するに当り、継続勤労年数1年未満の場合には退職金を支払わなくてもよいが、1年以上継続勤労した場合は、1年に及ばない勤続日数に対しても退職金を算定して支払わなければならない。従って、勤労者の採用当時の職種や臨時職・研修職・日雇いなどの雇用形態とは関係なしに事実上の最初の雇用日から起算し、実際に退職する日までの継続勤労した計算日数(すなわち、勤続日数)を基準として退職金を算出しなければならない。
(2)継続勤労年数
継続勤労年数とは、勤労者がその雇用形態を問わず退職金制度の適用事業または事業場に採用され、その日から勤務を中断することなく退職あるいは解雇されるまでのあいだに勤務した年数、すなわち在職期間を言う。この継続勤労年数が満1年以上になれば勤労者退職給与保障法上の退職金受給権が与えられる。つまり、「継続勤労」とは、同一勤労者が同一事業場で事実上継続勤務することを意味する。従って、日雇い勤労者あるいは臨時的な勤労者であっても、事実上継続して勤労した場合には継続勤労とみなされ、退職金を支給しなければならない。
(3)平均賃金
退職金は、継続勤労1年に対し、勤労基準法上に定められた「平均賃金」の30日分以上を支払わなければならない。ここでいう「平均賃金」とは、「これを算定すべき事由の発生した直前3ヶ月間にその勤労者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額を言う。」すなわち、退職金の場合は、これを算定すべき事由は退職であるため、退職直前3ヶ月間に支払われた賃金の総額が平均賃金の基準となる。ただし、次にあげる項目は平均賃金算定期間から、その期間および賃金を除外して算定しなければならない。
・試用中の期間
・使用者の帰責事由のために休業した期間
・業務上の負傷または疾病の療養のために休業した期間
・産前後休暇期間
・労働争議行為期間
・兵役法、郷土予備軍設置法または民防衛基本法による義務履行のために休職または勤労しなかった期間。ただし、その期間中の賃金の支払を受ける場合はこの限りではない。
・業務外負傷、疾病およびその他の事由のために使用者の承認を得て休業した期間
(4)勤労者退職給与保障法以外の方法で算定した退職金の効力
勤労者退職給与保障法上の退職金規定は、使用者から勤労者に支払われるべき退職金の最低限度を規定したものである。従って、たとえば平均賃金に含まれる賃金の範囲などを縮小し、就業規則で算定した退職金額が法定基準を下回る場合、その効力は認められない。
(5)退職金の支払時期
原則的に、退職金は使用者が退職勤労者に、その支給事由が発生した日から14日以内に支払わなければならない。ただし、特別な事情がある場合は、当事者間の合意により期日を延長することができる。
(6)退職金中間精算制度
退職金中間精算制度とは勤労者が希望する場合、途中に入社以後の退職金を受け、その時から改めて退職金を計算する制度である。現行法律では勤労者の意思のみあれば退職金を予め精算して支払うことができ、その事由に如何なる制限もないため、退職給与制度が老後生活保障制度として十分に活用されていない場合が多かった。2011年7月25日の法律の改正によって、2012年7月26日以後からは勤労者が住宅購入などの一定事由より特別に要求するばあいにのみ退職金を中間精算して支払うことができるようにし、退職金制度の本来の趣旨を生かした。
(7)退職金の支払方法
退職金にも賃金の支払方法に関する規定が適用されるため、通貨で、直接勤労者にその全額を支払わなければならない。