韓国税法は、国内法人及び特殊関係者間の取引により法人の所得に対する租税を不当に減少させたと認められる場合は、その法人の行為又は所得金額の計算を不当行為とみなし再計算できると規定しています。国内法人及び特殊関係者間の取引が正当であるかどうかを判断するには一般的な会社通年及び商取引慣行、特殊関係者でない者同士の正堂的な取引に適用されるかまたは適用されるであろうと判断される価額(以下、「時価」という)を基準としています。従って、韓国支店が韓国子会社に事業を譲渡する取引について、2社間に税法に基づく特殊関係が成立すれば時価で事業財産を評価し、当該金額で取引しなければなりません。
(1)貴社の韓国支店及び韓国子会社間での特殊関係の成立
法人税法の特殊関係規定は、法人と法人の株主間には特殊関係が成立すると明示しています。日本法人である韓国支店は日本本社と法的実態が同様であり、例えば日本本社は韓国子会社の株式を100%所有している株主である場合、韓国支店と韓国子会社には特殊関係が成立します。
(2)包括的事業譲渡時の時価
法人税法による時価は、該当取引に類似する状況において該当法人が特殊関係者以外の不特定多数人と継続的に取引した価額または特殊関係者でない第3者と一般的に取引した価格がある場合はその価格に従うと規定され、価格が不明確である場合は鑑定評価法人が鑑定した価額がある場合はその価額を時価とし、鑑定評価法人の鑑定価額がない場合は相続及び贈与税法に基づく財産評価方法を準用して評価した価額を時価とすると規定しています。
また、韓国税法はその企業の伝統、社会的信用立地条件又は従来の取引関係の存在など、営業上の機能又は特性により同種の事業を営む他の企業の通常収益より高い収益を獲得できる超過収益力である無形の財産的価値を営業権と定義しており、特殊関係者への事業譲渡時に帳簿上の資産・負債以外に税法に基づき評価した営業権代価を受領しない場合は不当行為計算の規定が適用されると解釈しています。
たと例の韓国支店が韓国で得点的な契約権を持たずに活動し、親会社のためのつうじょうのマーケティング支援活動を実施しているとしても、包括的事業譲渡により韓国支店の全ての人的・物的設備が韓国子会社に引継がれる場合、課税官庁はこれまでの韓国支店の人的・物的支援業務が培った信用、従来の取引関係及び営業活動等の無形固定資産がそのまま韓国子会社に引き継がれたと判断する可能性が非常に高いです。
従って、韓国支店の事業譲渡における時価は韓国支店の帳簿に計上されている有形固定資産のみならず無形固定資産である営業権の価値も反映すべきと判断します。但し、韓国支店の営業権に対する価値は一般的な市場で取引される価額が存在せず鑑定評価法人の鑑定価額もないため、法人税法の規定に基づく相続及び贈与税法に従う営業評価方法に評価し有償で譲渡すべきと判断します。
ご参考までに相続及び贈与税法によると、営業権の評価は次の算式により計算した超過利益金額を評価基準日以降の営業権特続年数(原則として5年)を勘案して換算した価額とすると規定しています。